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「タモリ論」樋口毅宏 新潮社

タモリ論 (新潮新書)

タモリ論 (新潮新書)

正直これはいただけない。少なくとも「論」を名乗るレベルに達していない。そもそも「いいとも」だけをベースにタモリを語ろうという所に無理がある。さらには途中からたけしやさんまの話にまで分岐して、短い本なのに収拾がつかなくなっている。
まぁタモリ好きが書いた同人誌、くらいだったら許せるけど、これを「論」として、大手出版社が出しては、ダメでしょう。
著者は自分の小説の中でタモリオザケンの歌詞を絶賛したエピソードをとりあげたようだが、音楽好きなのにMステでは滅多にミュージシャンを褒めることがないタモリが、稀に褒めることがある。
その滅多にない瞬間を楽しみの一つにMステを観ているわけだが、かなり昔、たまが出演したとき、たまのなかでも最も話題になっていなかった滝本晃司さんの「海にうつる月」を評して「たまの歌は、情景がうかんでくるんだよねぇ」といったようなことを語っていたのを覚えている。
また、椎名林檎が「本能」を歌った後も「いいねぇ」と言っていた(これは単に、ナース服をいいと言っただけなのかもしれないけど)。
それからPerfumeにも全般的に好意的。
で、つい昨日の放送で、サザンの曲を、「あの曲、いいよねー」と言っていた。あ、タモリさんサザンも評価していたんだ、と少し驚いた。
また言うまでもないことだけど、タモリを語る上で、彼の残した傑作アルバム群に触れないのも考えられない。「タモリ倶楽部」、「ブラタモリ」さらには過去放映されていた「ボキャブラ天国」や、「ジャングルTV」などについても言及されていない。とてもタモリを語るレベルにはない。
序盤でお笑いを語ることに対して自分をエクスキューズしていたのも、気になった。
プロがお金をもらって文章を書くときに、逃げ道を用意してはいけない。