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「この世界の片隅に」舞台挨拶付き上映 登壇者:のん、岩井七世、新谷真弓、コトリンゴ@TOHOシネマズららぽーと横浜


上映前に舞台挨拶。初めて、のん a.k.a 能年玲奈を生で観る。マイクトラブル、というか、挨拶中ずっとマイクノイズが入っていて、4本中2本のマイクが使い物にならない。しかもそれに係員が対応している様子がない。劇場側のひどさにちょっといらいらする。そんな中、マイクが通じないなら地声で、とばかりに大きな声を出す、健気なのんの姿を観られただけでも、まぁよしとするべしか。
で、いよいよ上映。
冒頭、のんの声が聞こえてきただけで、あっという間に世界がひろがってきて、うわっとなる。
こうの史代による原作が描かれたのが10年ほど前。なのにまるで、のんにあて書きされたかのように、絵を描くことが好きな、ちょっとぼんやりした主人公、すずのキャラクターが、のんになじんでいる。
舞台は広島、呉を中心に、戦争に向かっていく。そしてすずも成長し、様々な出来事や試練を超えながら、終戦を迎える。
まず、画が圧倒的に美しい。さらに時折、幻想的でもある原作世界を上手に演出している。
そしてそれぞれの人物が、戦争という惨禍の中、それぞれの思いを抱えながら、懸命に生きる姿を、丁寧に、押しつけがましくなく描いている。
コトリンゴによる音楽も作品に優しく寄り添っている。
日常の中にある戦争。それは一体どういう物なのだろう。
戦後世代としては、塚本晋也が「野火」で描いた戦争とは、また違う痛みが伝わってくる。
素晴らしい原作、それをアニメという形で鮮やかに描き出した片渕須直監督、それから、何度も書いているが、すずを演じる、のん、という、最高の主人公。
これが小規模上映で終わってしまうのは勿体ない。是非映画館で観て欲しいです。
もう今年も2ヶ月もないが、断言しておくと、今年度ナンバーワン。
また、歴史に残るべき傑作。
そんなに映画観ていないので偉そうな事言えないけど、今年、邦画、大豊作だなぁ。あとは「聖の青春」を観に行くつもり。