我孫子武丸氏の作品を久しぶりに読む。
冒頭からなんとも胸くそ悪く、あーでもそこぼやかすなんてなんかあるね、と思いつつ、実際なんかある。さらりと光らせた技巧はさすが。
ベテランならでは。
ふーん映画になるのかいかにも若者向けのキャストで。紀伊國屋にサイン本あったので手に取る。
あっという間に読了。
最新作はヒットしているけど、この作者、よっぽど売れなくて辛かったんだろうね。
俺はこんなに美しく尊い自慰行為をしているのになんでみんなみてくれないんだ。という魂の叫びを、天才美少女と病弱な妹が、「双眸」見開いて手助けをする作品。自慰行為の。それが400ページ近く延々と続く「陽向」の「奇跡」。
驚くのはなんだかんだでそんなキモ男の自慰を最後までみてしまう(読んでしまう)点。ある意味これが筆力か。
創作の苦しみはわかるが、一体彼らがどんな小説に憧れ、どんな小説を書いてきたのか分からない。先人からの引用が、中島敦のみ。
結局彼はいかにもラノベな美少女の手助けで、射精できたのかね。わかんないね。だってどんな小説書いたのか結局最後までわかんないんだもの。
※厳しく書いたのは、編集者を侮蔑しているとしか思えない、どうにも見過ごせない描写があったからというのもあります。