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「浮世でランチ」山崎ナオコーラ 河出書房新社

浮世でランチ

浮世でランチ

やっぱりこの作家のことが気になるらしい。購入。
短い小説だけど、眠る前に少しずつ、読んだ。
これは非常に好み。「人のセックスを笑うな」とは比べ物にならないくらい良い。
神様と中学生、OLと元同僚で交わされる手紙とメールが、どれも簡潔ながら心に残る。ラスト近くのある人からの手紙には、これまでの人間関係の全てを肯定するようで、お見事。
わかりやすい文章ながら、言葉選びにこだわりが感じられて、偉そうな言い方だけど、作者独自の文体ができているように思う。
いちいち挙げないけど、印象に残る描写がいっぱい出てきた。前作同様、ところどころ首をかしげてしまうフレーズもあったけど、何故か気にならない。
共感を求めているのか求めていないのかわからないような話。だけど、なんか全ての読者に近づこうとしてくれているような、これからの明るい先行きを祈ってくれているような。なんかうまく褒められませんが、私は好きです。