The workers are goin’ home

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「ディア・ドクター」@シネマイクスピアリ

キャリア、能力とも最上位に近いところにありながら、それを感じさせない自然体。最近、笑福亭鶴瓶という人は実は偉大な芸人なのではないかという思いがつのっていたところ。
ラストシーン観終わった直後は、ちょっと、これで終わり?という感じだったのだけど、帰路、いろいろ考えながら自転車に乗っているうちに、じわじわと沁み込んでくるものがある。なるほどこのラストがいちばんしっくりくるかもしれない。
嘘をつく者、うすうす感づきながらも見て見ぬ振りをする者、現実を生きるために、皆自分にとって最善と思える行動をとっている。でも単に何も気づいていない者が大多数。嘘をついてはいけない、というのは当然の建前だけど、それだけでは世の中はまわっていかない。
鶴瓶の演技は見事という他ない。ご臨終に思われた老人を、周りの空気を読んで抱きしめるシーン、すいかを持ってきた瑛太に、本音を語る場面など、印象に残るシーンをあげたらきりがない。
他の役者の配役、演技ともほぼ完璧に近い。
西川美和監督、とくに演出が見事。若いのに、なんという安定感。
なかなかの余韻が残る作品。できればもう1度観たい。見える風景が違ってくるはず。