The workers are goin’ home

SEのブログです

「イングロリアス・バスターズ」@シネマイクスピアリ


歴史的整合性やら、既成の倫理観やらを根本的にぶち壊す、かなりぶっ飛んだ快作。作りようによっては難しいテーマを、何事もないかのようにエンターテイメントにしてしまっているのがすごい。
ナチスに家族を虐殺された少女の復習譚にしてしまえばわかりやすいのに、そこにブラピ達が演じるちょっとねじの狂ったようなバスターズが出てきて、しっちゃかめっちゃかにかきまわす。
観る側の最大限の期待を裏切るような、カタルシスを半減させるようなラストシーンにこそ、タランティーノの真骨頂があるのかもしれない。
酒場のシーンはかなり冗長でわかりづらく、ちょっと退屈ですらあるのだけど、そこでの会話ややりとりの応酬も、タランティーノならではかな。
フランス人がフランス語を話し、ドイツ人がドイツ語を話す。当然のようだけどアメリカ映画ではなかなか行われない人種と言語の統一性があるのも、彼らしい律儀さを感じる。
改めて振り返ってみると、最初のフランスの酪農家の人たち以外、まともな人間は一人も出てこないのだった。
音楽もすごく良かった。随所に盛り込まれまくっている映画の元ネタとかは、まったく分かりませんでした。