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「猟銃」出演 中谷美紀/ロドリーグ・プロトー スタッフ[原作]井上靖 『猟銃』 [脚本] セルジュ・ラモット [日本語監修]鴨下信一 [演出]フランソワ・ジラール@PARCO劇場


8日に観に行った夜、確か前日に見たときには既に全公演完売だったよなぁと思いながらぴあを見たら、なんと土曜日の昼公演、前から2番目の席が売っていて、思わず買ってしまった。キャンセルが出たのだろうか。
しかし困ったことに、昨日遊び歩いていた反動か、精神状態が最悪で、行けるか死ぬか会議を自分で繰り広げる羽目に。


でも7000円以上する公演だし、雨もあがってきたので、出かけることにする。
というわけで、昼の部を鑑賞。
劇場に入って、やっぱり体調悪いし、途中で退出しようかな、と最初のうちは思っていたのだけど、中谷美紀の、鬼気迫る演技に拍車がかかっており目が離せず、結局最後まで観た。
最初のナレーションもなんとか聴き取れたし、物語や演出の流れも知っていたので、少し落ち着いて内容を堪能できた。
愛人の娘、愛人の妻、愛人そのもの、それぞれによる男に対する決別は、とてもドラマティックで、残酷。誰もが外面は何でもないようでも、何かを抱えている。そしてそれを爆発させる時を待っている。やはり人間の持つ生来の背徳、業の深さを感じずにはいられなかった。
それにしてもこの芝居における中谷美紀は素晴らしい。ときおりセリフがとんだりとちったりするのは相変わらずだったけど、そんなの気にならないくらい、舞台で気を発していた。気というのは、色はもちろん、鬼、悋、覇など、あらゆるもの。


100分近く、喋りっぱなし。しかも早口で。これって、あり得ないよなぁ、と思ったのだけど、考えてみれば落語家も独演会などで同じ事を平然と演っているわけで、やっぱり芸能を生業とする人(の中でも芸に選ばれた人)はすごい、と思ったのでした。