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「酒と涙とジキルとハイド」作・演出 三谷幸喜 出演 片岡愛之助 優香 藤井隆 迫田孝也@東京芸術劇場プレイハウス


けっこう直前までこの舞台があることを知らず、なんとか補助席を確保。三谷幸喜の新作であることはもちろん、キャストも魅力的。
トーリーはまとめてしまうと、もう本当に「酒と涙とジキルとハイド」とおまけにハイジ(という特異な女性)のお話、なんだけど、おそらくあて書きされたと思われる脚本に、演者全員がポテンシャルを超えた演技で応えている。
そして近年の三谷幸喜はちょっと真面目な方向に行きがちだったけど、本作ではひたすら笑いに徹する。
研究がうまくいかずに嘘をつこうとする博士、なんて、最近あった話のように思えるが、脚本はそのずっと前に完成していたはず。
そしてそれに乗っかっちゃって、「200回以上成功しているんです!」とかセリフをかぶせてくる辺りは見事。
片岡愛之助は、さすが歌舞伎役者と思わせる声の張り。
藤井隆は抜群のキレを観せてくれる。
藤井隆といえば、ブレイク前、よしもと新喜劇で観て、なんかとんでもないのが出てきた、と衝撃を受けていたら、あれよというまに売れたのだった。近年では活躍の場を拡げていて、頼もしい限り。
で、優香。芸達者な出演陣についていけるかな、と思ったら、なんと素晴らしい名演技。難しい役どころだと思うのだけど、何事もないように演じてみせた。これは優香の新しい側面が引き出されたのではないか。
今後舞台にひっぱりだこになるかも。
休憩なしの約1時間45分。
相変わらずギャグの方向性も、オチもある程度のところで見えてくる。しかし決して下品になることなく、ひたすら笑いに徹する、三谷幸喜の良質な部分が凝縮された、久しぶりに傑作と思える作品だった。