The workers are goin’ home

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「さつき断景」重松清 祥伝社文庫

昨日の読了本。
表紙の絵は、町田駅前ですね。3人の登場人物の、95年から2000年までの6年の5月1日を切り取った作品。どれも舞台は、町田辺りの東京郊外を想定できる。どの登場人物も、自分の境遇とはかぶる点はほとんどないのだけど、どれもじんわりと、迫ってくるものがある。そう、みんな、決断したくても、できないもの。当時、実際に起きたニュースが断片的に挿入されて、作品のリズムを微妙にゆがめている。そんな小説としての完成度を無視したような構成が、かえって魅力的。95年の高校生が、フミヤの「タイムマシーン」を歌っていたかは、はなはだ疑問ではありますが。