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「ブラフマンの埋葬」小川洋子

ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)

ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)

謎の動物、ブラフマンの姿形に関する描写が、必要十分で余計なものがなく、読み手それぞれのイメージで、この愛らしい動物と時間を共にすることができる。
タイトルから、もうラストはわかっているようなものだけど、訪れは思いのほか唐突に、愚かで切ない形でやってきてしまう。
物語に終始付きまとう寂しさが、不思議と心地いい。小説でなければ、表現できない世界。
昨日電車内で読み終わったのだけど、ふと見上げると目の前の女性が「博士の愛した数式」を読んでいて、ちょっとびっくり。「いやこっちのほうがずっといいですよ」と思わず言いたくなってしまった。