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「玻璃の天」北村薫 文芸春秋

玻璃の天

玻璃の天

「街の灯」に続くシリーズ。3篇、どれもいい。文学やら芸術に関する解釈について、前作より思わせぶりな記述が多く、文学オタクでもない自分には理解できないところもある。でも嫌味なほどではない。
戦争の空気が少しずつ濃くなってきている。北村薫の強いメッセージも随所に散りばめられており、ちょっと熱くなった。
上流階級のお嬢様が主人公ってのも、確かに鼻につくところはあるのだけど、かえって現実味がなくて、やや浮世離れしたトリックを活かすのにはいいのかもしれない。
これ、直木賞候補になりながら何故か受賞を逃したんだよな。文芸春秋なのに。もったいない。北村薫は既に十分人気作家だけど、少しでも多くの人に読まれて欲しいと思う。