「ハミングで二番まで」香納諒一 双葉文庫

ハミングで二番まで―初期傑作短篇集 (双葉文庫 か 32-1)

１０年前の初刊（ハードカバー）時にひょっとしたら読んでいたっけと思いつつ、手に取る。
最初の「共犯」に、デジャヴを感じる。これはきっと読んでいる。書簡形式に戸惑いあまり楽しめなかった記憶がある。
次の「城が崎へ」「宴の夏」で、あれ、読んでいなかったっけとちょっと思う。でもラストの「ハミングで二番まで」で、記憶が蘇る。これ、やっぱり１０年前に読んでいる。少なくとも、最初の「共犯」はほぼ確実に。
全部読んでいたとしてもほとんど忘れていたわけで、まぁよしとする。
忘れていたのは単に自分の記憶力がないだけで、作品としては端正で実によくまとまった、香納諒一らしい好短編集。
「交錯の轍」の薄ら寒い感じが特に好み。