The workers are goin’ home

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おとうと@シネマイクスピアリ


冒頭の結婚式のシーンやら、価値観、台詞回しなどに昭和的なアナクロ感を感じなくもなかったが(個人的にはこれは減点ポイントではない)、後半のホスピスの場面に至るにあたり、どうやって死ぬか、という、極めて現代的な問題を突きつけてくる。
このホスピスが出てくるようになってからが、特に素晴らしい。
吉永小百合は関西弁が下手だったけど、まぁ仕方ないかな。やっぱり存在感があります。
笑福亭鶴瓶は、彼しかこの役は演じられないだろうというくらいの見事な演技。役者的な演技ではないのだけど、この味は彼にしか出せないでしょう。特に「お姉ちゃ〜ん!」の甘えたような呼びかけとか。
蒼井優も今までの作品になかったような、新しい輝きをみせてくれる。そういえば来年の大河ドラマ上野樹里に決まったみたいですね。蒼井優しか考えられないと思っていたのだけど。上野樹里かぁ。確かに演技力はあると思うけど、時代劇が想像しづらい。どうなるんだろう。
話がそれた。
改めて振り返って、全体を見てみると、なんという考えられた完成度の高い脚本に、演出だろう。そして脇役を含めた、役者全てに血肉が通っているのも素晴らしい。
鶴瓶があちこちのTVでネタバレトークを繰り広げてくれたので、筋は最初から分かっていたのだけど、それでも涙を抑えることが出来なかった。
本当のラストシーン、それまで顧みられなかった存在の、姑役、加藤治子のセリフが、映画唯一の解決していなかった問題を、皮肉にも浮き彫りにして、しんみり考えさせられる。


誰がなんと言おうと、これはスタンダードたり得る名作だと思います。
政府は一刻も早く山田洋次国民栄誉賞を(そんなの欲しがらないだろうけど)。