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火曜日の本

永井紗耶子「木挽町のあだ討ち」(新潮社)読了。

読まなくとも、書籍発売時点でその期の直木賞受賞作がわかるという、何の得もない能力は、時代小説ではなかなか発揮されない。

若いころあまり時代小説読んでいなかったからというだけだけど。

ただこの作品は、どういうわけか嗅覚が働き、早いうちに購入していた。

長さも程よく、ちょうど読書熱も上がっているので、読む。

話、というより噺、とでも言いたくなる語り口や筋書きは巧いし、時折でてくる芸能に関わる人々を通じた人生訓のような言葉は、どれも押しつけがましくなく、まっすぐに響く。

誰が読んでも面白い小説だと思うけど、特に伝統芸能が好きで、エンターテイメントを愛し、現実とのギャップをどう埋めるのか悩む人たちにとっては、一層楽しめると思う。