The workers are goin’ home

SEのブログです

「スローブログ宣言!」鈴木芳樹 技術評論社

yskszk氏のHPは、9年前の開設当初より、頻繁にアクセスさせてもらっている。日記が更新されていない日があると、妙に寂しかったものだ。

自分も8年以上前にHPを開設し、日記(のようなもの)を更新していたのだけど、数ヶ月で更新をやめてしまった。
・いちいちFTPするのが面倒
・いちいちHTML書くのが面倒
・いちいちダイアルアップするのが面倒
つまり、多くの人々と同じく、面倒になったから。そもそも、自分の配信できる情報なんて、大したものがなかったし、こんなもの公開してごめんなさい、くらいの勢いだった。日記以外のページなんて、数回更新した程度ではないか。

で、ブログをはじめたのは1年ちょい前。海外出張の記録でもとっておこうかな、という軽い気持ちからはじめたのだけど、いまでもこのようにちょくちょく更新を続けている。すぐに面倒になってやめると思ったのに。
空白期間はあるが、読んだ本の記録などは、昔から何らかの形で昔からつけていた。手書きは面倒だし、ローカルのテキストファイルに残していると、PC置き換えのたびに居所が分からなくなってしまう。その点、外部保管できるし、どこからでも更新できるブログは、単純に便利。ブログのおかげで、ライブや映画の備忘もまとめられるようになった。

そんなわけで、自分にとってのブログは、まだまだ更新の便利な雑記帳のようなもの、程度のイメージ。そもそも「書評」なんて書けないし、いちいちあらすじなんて書くの面倒だし。でも、まれに、トラックバックとかもらえたりすると、妙にうれしくなったりする。
偉そうなこと言える知識も見識もないのだけど、多くの人にとって、ブログの位置づけはそのようなものだと思う。まぁ、ちょっとした自己顕示欲はあるけど、基本的には、友達と、ほんのちょっとの同じ趣味の人が読んでくれればいいかな、という程度。
もちろん、とにかくブログを通じて、自分の主張を幅広く発信したい、多くの人と繋がりたい、という人もいっぱいいるだろう。

その流れって、多分個人HP黎明期から同じなのではないか。
以前から、「んなどうでもいいこと、いちいちWWWで公開するなよ」と突っ込みたくなるHPはいっぱいあった(自分のページもそうだったけど)。反面、内容の充実した個人HPも多かった。で、そんなページは自然とアクセス数が向上する。
単純に、ブログのおかげで公開が簡単になり、匿名性が向上し、利用者が劇的に向上しただけなのかな、と思う。
自分は、今のところ活用できだけの材料も情熱も持ち合わせていないが、もちろん、この本でも指摘されているとおり、ブログというツールそのものは、単純な「日記」以外の使い道はいくらでもある。ブログ時代は、まだ当面続くと思う。


yskszk氏の文章は、平易で明快だし、比喩もいちいちわかりやすくて適切。正直、東浩紀氏の騒動顛末や、アフィリエイトの話には、あまり興味がもてなかったし、眞鍋かをりのブログも、素直に面白いとは思うけど、ysk氏の熱弁ほどには、衝撃的なものには思えない。
個人的には、ysk氏のネット歴に触れた、最後の8章が、一番興味深かった。ROM、懐かしいな。この章が興味深いのは、おそらく、自分が同じような時期にネットの世界に入り込んでいったからだと思う。また、この頃は、学生で暇だったというのもあるけど、ネットでの交流に対して、もっと積極的だった。
人によっては、逆に、アフィリエイトや、東氏の話のあたりを興味深く読むかもしれない。自分が興味をもてなかったのは、単純に、ブログというものにまだのめりこんでいないからかも。
読む人によって、おそらく読了後の感想はまったく違うのではないか。そして、何かを考えたくなるのではないか。
ひょっとしたら、この本は、読者それぞれに、自分なりのネット観を考えさせ、「自分語り」をさせるきっかけを作るのが狙いかもしれない。


しかし、タイトルだけではどんな内容なのか分からない。帯もない。手に取るのを躊躇してしまう雰囲気のある本だよな。ちょっと損してる。