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「新釈 走れメロス 他四篇」森見 登美彦  祥伝社

新釈 走れメロス 他四篇

新釈 走れメロス 他四篇

3月の末くらいに読了。
この作者、デビュー作の「太陽の塔」の良さがどうにもわからなかったのだが、最近やたら評判いいので、購入。どうせならもっと話題の「夜は短し歩けよ乙女」読むべきかもしれんけど、紀伊国屋でサイン本があったので、こちらを購入。写真見づらくて申し訳ないですが、奥付に押印してあるのが素敵です。
まぁどうせお気楽な企画本だろうとたかをくくって読み始めたのだけど、原典を上手に解体して自分の世界に持っていっていて、どれも面白い。また各編、文体も作風も(ちょっとずつだけど)違うのに、登場人物が繋がっているのも楽しい。サービス精神を感じる。
表題「走れメロス」の途中からの展開には特に大笑い。個人的にベストは圧倒的に「桜の森の満開の下」かな。こういうのも書けちゃうんだと素直に驚いた。
でも京都の大学出た作家の描く京都って、なんか妙な特権意識が感じられて、あまり好きになれないんだよな。京都という町自体は、もちろん嫌いではないのですが。「桜の森」が一番良かったのも、ちょっと京都を出てくれたからかも。
いや、とはいえ、楽しい作品集であることは確か。読んでよかったです。