The workers are goin’ home

SEのブログです

歌野晶午「密室殺人ゲーム王手飛車取り」講談社ノベルス

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社ノベルス)

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社ノベルス)

歌野晶午、久しぶりの長編。
各章ごとに、引き伸ばしようによっては長編にもなりそうなネタ(いや、まぁ馬鹿馬鹿しいトリックばかりなのですが)を惜しげもなく連発。さすが、気前いいです。
殺人者たちの正体を含め、全体の驚きはさほどのものではないけど、微妙な空気漂うラストまで、まったく飽きることない。
45歳のオトナの書く小説とは思えない。いや、オトナだから書けるのか。皮肉に満ちた社会派ミステリーで、とにかく素晴らしい。「世界の終わり..」「女王様と私」の発展系。現代をあえて類型的に描こうとして、行き着く先ここまできてしまったのではないか。今年のベストの1つは早くも決まったな。
講談社ノベルス、わけのわからんガキの本ばかり出してないで、もっとこういうレベルの高いミステリーを出して欲しい。書ける人がいないのか。