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「猟銃」出演 中谷美紀/ロドリーグ・プロトー スタッフ[原作]井上靖 『猟銃』 [脚本] セルジュ・ラモット [日本語監修]鴨下信一 [演出]フランソワ・ジラール@PARCO劇場



あの井上靖の「猟銃」を舞台化、しかも中谷美紀一人三役、ということで、ものすごく楽しみにしていた。
なんとPARCOの前はカナダで演ったらしい。
最初の男声のナレーションが、スピーカーが悪いのか、やたら聞き取りづらく、え、ついていけんのかな、とちょっと不安になるが、そこから約100分、一人で早口で、着替えて役を演じ分けて喋り続ける中谷美紀が実に素晴らしく、ところどころ(というより、かなり)セリフが飛んでいたり、とちったりするところがあったけど、存在そのものが圧倒的で、これぞ「女優」。
演じる三人の女性それぞれ、完全に憑依しているような演技。
演出も床を効果的に利用したシンプルながら凝ったもので、裸足の中谷美紀が映える。暗転のないスリリングな展開。
そしてラスト、遺書(?)でつきつける現実が、衝撃的で、こんな業の深い作品を戦後すぐに発表した井上靖ってやっぱりすごい、と強く思った。またそれを演じる中谷美紀も、本人の意図しないところで、女優という職業に引っ張られた、ある意味、業を背負った人なんではないかと思った(知らないけど)。
エンターテイメントというより文芸性の高い舞台だったけど、素晴らしかった。また観たい。