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劇団・本谷有希子 番外編「ぬるい毒」原作:本谷有希子『ぬるい毒』(新潮社)脚本・演出:吉田大八<出演>夏菜 池松壮亮 板橋駿谷 札内幸太 新倉健太 高橋周平 石井 舞 一瀬麻衣子 井端珠里 川村紗也@紀伊國屋ホール


正確には本谷有希子のところに斜線が入っています。番外編と呼んでしまっていいのかな。本谷有希子の小説を、「桐島、部活やめるってよ」の映画版で話題をさらった吉田大八が舞台化。
昼の部を観る。早い段階でチケットを押さえていたので、前から2列目。
紀伊國屋ホール紀伊國屋新宿本店の4階)は実は初めてだったりしたのだけど、前の方はあまり段差もなく、歴史を感じさせる建物。
で、舞台。これがもうスリリングといういうかなんというか、最初のモノローグで少し語られるものの、主演の夏菜がいったいどういう立ち位置の人間なのかすらよくわからない。
そこにあからさまにうさんくさい大学生、池松壮亮がからんできて、ますますどう転がっていくのか分からなくなる。
ラストに近づくにしたがって、更に一体誰を信用したらいいのか混乱してくる。善と悪の境目はない。そして圧倒的なカタルシスを迎える。そう。それでも人間って生きていかなくてはいけないんだよなぁ。
本谷有希子って、自分より年下なんだよな。なんでこんな毒(ぬるくない)のある、ずっしりくる話が書けるんだろう。とにかく読めない、きっと相当、業の深い人である。
装置を全てシートにくるんだ舞台も印象に残る。ちょっと文章の説明が多いかな、と思ったけど、話の腰を折るほどのものではなかった。
夏菜は身体を張った熱演。あて書きされたたんじゃない?って言いたくなるくらいはまっていた。
池松壮亮も、数年前はあどけない少年だったのに、すっかり格好いい男になっていて、びっくり。これからもっと伸びるだろうな。
いい舞台を観ました。おすすめです。